【2026年新設】新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?旧「新事業進出補助金」「ものづくり補助金」との違いを解説

2026年度から、これまで別々に公募されていた「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」が再編され、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金として実施されることになりました。第1回公募要領は2026年6月29日に公開され、申請受付は2026年8月31日から9月30日18時まで(厳守)です

「自社はどの枠で申請すればいいのか」「補助額や要件は前とどう変わったのか」――

この記事では、公開された第1回公募要領をもとに、制度の全体像と、旧2制度との違いを整理します。設備投資や新市場進出を検討している経営者・ご担当者の方は、申請枠の見極めにお役立てください。

※本記事は2026年6月公開の第1回公募要領(1.0版)に基づいて作成しています。制度は改訂される場合があるため、申請前には必ず最新の公募要領をご確認ください。

目次

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは|2026年新設の補助金制度の概要

本補助金は、中小企業等が「技術的革新性のある製品・サービスの開発」「既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出」「海外市場開拓(輸出)に向けた国内体制の強化」に取り組む際の設備投資等を支援する制度です。付加価値額の向上を通じた企業規模の拡大と、賃上げの実現を目的としています。

※公式サイト:https://shinjigyou-monodukuri.smrj.go.jp/

旧「新事業進出補助金」「ものづくり補助金」との関係|”統合”の正しい理解

ここで一点、押さえておきたい重要な前提があります。本補助金は旧「中小企業新事業進出促進補助金」および旧「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を再編して創設された制度です。しかし、公式には従来の2制度とは”異なる補助金”として位置づけられています。実際、公募要領でも旧2制度は別個の補助金として扱われており、公募回・申請期間もあらためて設定されています。「2つが合体しただけ」と単純に捉えるのではなく、目的や枠組みを整理し直した新制度として理解することが大切です。

申請はいつからいつまで?新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募のスケジュール

第1回公募の主なスケジュールは次のとおりです。

項目期日
公募開始2026年6月29日(月)
申請受付開始2026年8月31日(月)
応募締切2026年9月30日(水)18:00(厳守)
採択発表2026年12月頃(予定)

申請はGビズIDプライムアカウントを用いた電子申請のみで受け付けられます。アカウント発行には1~3週間程度かかるため、未取得の方は早めに準備してください。なお、公募は今後も複数回実施される予定です。本記事の数値は第1回公募のものである点にご留意ください。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の3つの申請枠|補助率・補助上限額の違い

本補助金には3つの枠があります。それぞれ旧制度との対応関係と、補助上限額・補助率が異なります。

支援対象補助率補助上限額
(従業員規模別)
補助下限額
革新的新製品・サービス枠革新的な新製品・新サービスの開発中小1/2(2/3)、小規模・再生事業者2/3750万〜2,500万円(特例時850万〜3,500万円)100万円
新事業進出枠既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出中小1/2(2/3)2,500万〜7,000万円(特例時3,000万〜9,000万円)750万円
グローバル枠海外市場開拓(輸出)に向けた国内体制強化中小2/32,500万〜7,000万円(特例時3,000万〜9,000万円)750万円

※補助率の括弧内は、地域別最低賃金引上げ特例の適用を受ける場合。補助上限額の特例時は、賃上げ特例の適用を受ける場合。

革新的新製品・サービス枠|補助上限額・対象経費のポイント

自社の技術を活かした革新的な新製品・新サービスの開発を支援する枠です。機械装置・システム構築費が必須で、建物費は対象になりません。旧ものづくり補助金では対象外だった広告宣伝・販売促進費が、この枠で新たに対象経費に加わっています。

新事業進出枠|建物費も対象になる新市場進出向けの補助枠

既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する枠です。機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必須で、建物の建設・改修費も補助対象になります。店舗や施設の投資を伴う新事業と相性の良い枠です。

グローバル枠|補助率2/3・最大9,000万円の海外展開支援

海外市場開拓(輸出)に向けた国内体制の強化を支援する枠です。補助率2/3・補助上限額最大9,000万円(特例時)。3枠のなかで最も手厚い設計になっています。建物費に加え、海外旅費・通訳翻訳費も対象です。

申請枠の選び方|自社に合う枠の見極め方

枠選びの目安は次のとおりです。

  • 自社の技術を活かした革新的な製品・サービス開発 ⇒ 「革新的新製品・サービス枠」
  • これまで扱ったことのない製品で新しい顧客層に踏み出す ⇒ 「新事業進出枠」
  • 海外への輸出体制を整える ⇒ 「グローバル枠」

「ものづくり補助金」との違い|補助率・対象経費・要件の変更点を比較

旧ものづくり補助金は、「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」の2枠構成でした。新制度の「革新的新製品・サービス枠」「グローバル枠」に引き継がれていますが、いくつか実務上重要な変更があります。

付加価値額の要件が+3.0%→+4.0%に引き上げ

旧ものづくり補助金では付加価値額の年平均成長率が「+3.0%以上」でした。しかし、新制度では全枠共通で「+4.0%以上」に引き上げられました。事業計画で示す成長目標のハードルが上がっている点は要注意です。

広告宣伝・販売促進費が対象経費に追加

新制度の革新的新製品・サービス枠では広告宣伝・販売促進費が対象経費に含まれるようになりました。旧ものづくり補助金の製品・サービス高付加価値化枠では対象外だったので、嬉しい変更点です。開発後の販路開拓費用まで見込める点は拡充といえます。

ただし、上限額は「事業計画期間内の補助事業における売上見込み額合計÷事業計画年数×5%」となります。

グローバル枠が補助率2/3・最大9,000万円に大幅拡充

旧ものづくり補助金のグローバル枠は補助上限額3,000万円(一律)、補助率は中小1/2・小規模2/3でした。新制度では従業員規模別に最大7,000万円(特例時9,000万円)へ引き上げられ、補助率も一律2/3に。さらに建物費が対象に加わり、海外展開支援が強化されています。

「新事業進出補助金」との違い|補助上限額・対象経費・申請要件を比較

旧新事業進出補助金には枠の区分はありませんでした。新制度では、これが3つの枠のうちの「新事業進出枠」として位置づけられています。

補助額・対象経費は旧制度をおおむね踏襲

補助上限額(従業員規模別に2,500万〜7,000万円、特例時最大9,000万円)、補助率(1/2、特例2/3)、建物費を含む対象経費の考え方は、旧制度をおおむね踏襲しています。既存事業と異なる「製品等の新規性」と「市場の新規性」を求める新事業進出要件の基本的な考え方も引き継がれています。付加価値額要件は旧制度・新制度とも「+4.0%以上」で変わりありません。

創業1年未満は新事業進出枠の対象外|創業要件に注意

大きく意識しておきたいのは創業要件です。新制度では、従業員0名の事業者は全枠で対象外。加えて創業1年未満の事業者は新事業進出枠に限って対象外とされています。新事業進出枠を狙う創業間もない事業者は、最低1期分の決算書が必要になる点を確認しておきましょう。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の申請要件と注意点

いずれの枠でも、3〜5年の事業計画で複数の要件を満たすことが必要です。

3〜5年の事業計画で満たすべき共通要件

  • 付加価値額要件:年平均成長率+4.0%以上
  • 賃上げ要件:一人当たり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上(未達の場合、補助金返還義務あり)
  • 事業場内最賃水準要件:地域別最低賃金より+30円以上高い水準を毎年維持(未達の場合、補助金返還義務あり)
  • ワークライフバランス要件:次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表
  • 子育て等に関する職場環境整備の取組:指定の取組から1つを実施
  • 金融機関要件:金融機関等から資金提供を受ける場合、事業計画の確認を受けること

全事業者が対象の「職場環境整備要件」に注意

ワークライフバランス要件と子育て等職場環境整備の取組は、全事業者が対象です。旧ものづくり補助金では一般事業主行動計画の策定は従業員21名以上の事業者のみが対象でしたが、新制度では小規模な事業者も含めて求められます。

一般事業主行動計画の公表手続きには1〜2週間程度かかります。GビズIDと合わせて早めの準備が欠かせません。

賃上げ特例で補助上限額を引き上げる方法と返還リスク

大幅な賃上げに取り組む場合は、一人当たり給与支給総額を年平均+6.0%以上、事業場内最低賃金を+50円以上とする「賃上げ特例」により補助上限額の引き上げを受けられます。ただし特例要件を達成できなかった場合は、引き上げ分の返還が求められます。目標値は慎重に設定してください。

【ケース別】どの事業者がどの申請枠を狙うべきか|中小企業診断士の視点

最後に、ケース別の考え方を整理します。

新製品・新サービスを開発したい場合|革新的新製品・サービス枠

自社の技術力を活かしてまったく新しい製品・サービスを開発したい製造業・サービス業の方は、革新的新製品・サービス枠が第一候補です。設備投資を軸にしつつ、開発後の広告宣伝・販売促進費まで見込める点を活かしましょう。

建物投資を伴う新市場進出の場合|新事業進出枠

建物の新設・改修を伴い、これまでと異なる顧客層に進出したい方は、新事業進出枠が向いています。建物費が対象になるため、店舗・施設投資を伴う新事業と相性が良い枠です。ただし新事業進出要件(製品・市場の両面での新規性)を満たせるかを、計画段階で丁寧に検証する必要があります。

海外輸出に挑戦する場合|グローバル枠

輸出による海外販路開拓を目指す方は、補助率2/3・上限最大9,000万円と最も手厚いグローバル枠を検討する価値があります。海外旅費や通訳翻訳費まで対象になる一方、審査では海外市場の分析や実現可能性がより厳しく問われます。

いずれの枠でも、付加価値額+4.0%という引き上げられた要件を、根拠をもって説明できるかどうかが採択の分かれ目になります。「会社全体の事業計画と連動しているか」が重視される制度であることを踏まえ、補助金ありきではなく経営戦略の中に投資を位置づけることが重要です。

まとめ|新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の申請準備は早めに

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、旧「新事業進出補助金」と旧「ものづくり補助金」を再編した2026年度の新制度です。「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3枠で構成されます。旧制度から補助上限額や対象経費が刷新される一方、付加価値額要件の引き上げや職場環境整備要件の全事業者への拡大など、要件面では引き締めも見られます。第1回公募は2026年8月31日から9月30日まで。GビズIDや一般事業主行動計画の準備には時間がかかるため、早めの着手が採択への第一歩です。

自社がどの枠に該当するか、付加価値・賃上げ計画をどう組み立てるかは、事業の実態によって判断が分かれます。まずは自社が使えるかどうかを整理したい場合は、お早めに専門家に相談することをお勧めします。


この記事を書いた人

株式会社 ai-soumu(エーアイソウム)
代表取締役 上瀬戸研次
中小企業診断士

事業会社にて18年に渡り経理・総務・人事・情報部門といったバックオフィス業務に従事。
会社設立後はバックオフィスの業務改善・DXの専門家として、IT導入補助金を活用してクラウド会計をはじめ、各種SaaSの販売および導入支援を行う。

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