令和6年度、多数の応募があった「地域観光“新発見”事業」。令和7年度は「地域観光魅力向上事業」として、2025年3月3日より一次公募が受付開始されることが発表されました。
インバウンド観光客を中心に盛り上がっている観光市場。しかし、三大都市圏への需要の偏在が深刻化しています。地方誘客の状況はコロナ前水準に達しておらず、需要の回復に差が生じている状況です。そうした状況を踏まえ、地域の多様な観光資源を生かした観光コンテンツの造成や、その販路開拓、情報発信も含めた総合的な支援を行うための事業が「地域観光魅力向上事業」です。
本コラムでは、地域観光魅力向上事業について、2025年1月時点での最新情報を解説します。
地域観光魅力向上事業とは
まず、地域観光魅力向上事業の概要をご紹介します。
◆事業目的・背景・課題
●コロナ禍以降、三大都市圏への需要の偏在が深刻化。2024年は若干改善したが、依然として地方誘客の状況はコロナ前水準に達しておらず、都道府県ごとにも需要の回復に差が生じている状況。インバウンドの地域偏在を解消し、全国津々浦々に観光による経済効果を波及するためには、地域の多様な観光資源を生かした観光コンテンツの造成を更に進め、来訪目的の創出が必要。
●また、個人手配化・オンライン手配化への急激な転換といったコロナ後の状況を踏まえ、観光コンテンツの造成だけでなく、適切な販路開拓や情報発信も含めた総合的な支援が必要。これらの支援を通じて、地方誘客を行う上で来訪の目的の創出を担う重要産業である地域の観光コンテンツ産業の裾野の拡大や活性化に寄与。
◆事業内容
将来に亘って持続的に地方誘客が促進されるよう、まだ観光に未活用な地域資源の活用など、地域資源を活用した収益性が高く独自性・新規性のある観光コンテンツの開発から、適切な販路開拓や情報発信の総合的な支援を行い、中長期に亘って販売可能なビジネスモデルづくりの支援を全国各地で実施。
◆支援内容
●観光分野の専門家によるアドバイス等を通じた観光コンテンツの磨き上げや商品化の支援
●観光コンテンツの販路開拓のための商談会の開催やOTA掲載等の支援、SNSによる情報発信等の支援
◆補助額
400万円まで定額、400万円を超える部分については補助率1/2
(補助上限:1,250万円、最低事業費:600万円)
◆補助対象事業者
地方公共団体、DMO(観光地域づくり法人)、民間事業者等
◆公募スケジュール(予定)
【一次公募】令和7年3月3日(月)~4月18日(金)予定
※令和7年5月下旬採択予定
【二次公募】令和7年6月予定
※参考:観光庁ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001853010.pdf)
地域観光魅力向上事業ウェブサイト(https://miryoku.go.jp/)
補助額は400万円まで定額!
「地域観光魅力向上事業」補助金の補助額は、400万円まで定額、400万円を超える部分については補助率1/2です。補助上限額は1,250万円で、最低事業費として600万円と定められています。
例えば、事業費が最低額である600万円だった場合、補助額は500万円となります。
【計算式】400万円 +(600万円 – 400万円)÷ 2 = 500万円
事業費が2,100万円だった場合、補助額は上限である1,250万円となります。
【計算式】400万円 +(2,100万円 – 400万円)÷ 2 = 1,250万円
補助対象経費は?OTA掲載やSNS情報発信も対象!
「地域観光魅力向上事業」補助金では、観光コンテンツの磨き上げや商品化、販路開拓のための商談会の開催、OTA掲載、SNSによる情報発信等が補助対象経費となります。
インバウンド観光客・国内観光客問わず、あらゆる観光客をターゲットとした観光コンテンツの造成が可能です。
詳細は発表されていませんが、具体的な補助対象経費のイメージは下記の通りです。
- 観光コンテンツ、旅行商品等の企画開発
- チラシ、クーポン券等の企画開発、制作
- 観光イベントの実施
- モニターツアー、ファムトリップの開催
- 観光コンテンツ造成に必要となる備品の購入や設備の導入
- インフルエンサーによるSNS情報発信
- OTAサイト掲載
- 造成した観光コンテンツを販売するために必要となる写真、動画、ホームページ等の作成
※令和6年度「地域観光“新発見”事業」の内容を元に記載しています。「地域観光魅力向上事業」では変更になる場合があります。
幅広く対象経費として申請できるところが嬉しいですね!
既存商品のブラッシュアップも対象になる!
「地域観光魅力向上事業」では、現在販売中の商品の内容をブラッシュアップした観光コンテンツの造成も対象になります!令和6年度で「地域観光“新発見”事業」や、その他の事業で採択された観光コンテンツであっても、マーケティング分析等を行ってブラッシュアップし、効果が期待できると判断されれば、採択される可能性があります。
「地域観光“新発見”事業」で採択された事業者の皆さん、ぜひ「地域観光魅力向上事業」にもチャレンジしてみてくださいね!
採択件数はどれくらい?地方部が8割以上となるように採択される!
令和6年度の「地域観光“新発見”事業」では、一次公募で358件、二次公募で361件、合計719件が採択されました。令和7年度では予算が約20%減ってしまいましたので、採択件数は全体で500~600件程度になると予想されます。
また、地域観光魅力向上事業では、地方部を優先的に採択することが明言されています。地方部とは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県を除く39都道府県を指します。地方観光地の事業者の皆さんは積極的に応募されると良いと思います!
スケジュールの目安は?
一次公募は2025年3月3日(月)~4月18日(金)に公募受付されます。採択発表は2025年5月下旬に予定されています。二次公募は2025年6月に公募開始予定、7月下旬に採択発表予定です。
〈参考〉令和6年度 地域観光“新発見”事業の公募スケジュール
【一次公募】2024年3月8日(金)~4月17日(水)正午
※2024年5月30日採択発表
【二次公募】2024年5月31日(金)~6月24日(月)正午
※2024年7月26日採択発表
採択後、交付申請を行い、交付決定通知が届いてから補助事業を開始できます。
一次公募、二次公募ともに、事業実施期間は2026年2月下旬までと思われます。事業実施期間内に完了実績報告と積算書類提出が必要です。3月頃に補助金の支払いが行われる予定です。
まとめ
「地域観光魅力向上事業」は、地域資源を活用した観光コンテンツ造成や販路開拓のために利用できる補助金です。インバウンド観光客だけでなく国内観光客向けの観光コンテンツも対象となります。ぜひチャレンジしてみることをお勧めします!
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