【2025年1月最新】令和7年度 観光庁予算額決定!公募予定の補助金を解説

2024年12月27日、国土交通省観光庁の令和7年度予算決定概要が発表されました。

2024年8月時点で要求された額は約620億円でしたが、予算決定概要では約530億円となりました。令和6年度の予算額は約500億円でしたので30億円の増額となっていますが、具体的な中身はどのようなものでしょうか。本コラムでは、観光庁ではどのような補助金が公募されるのか、令和7年度観光庁関係予算の決定概要の内容をもとに解説します。

目次

令和7年度の観光庁の予算額は約530億円!前年度予算額より約5%UP!

令和7年度 観光庁関係予算総括表は下図の通りです。前年度予算より約5%の増額となりました。

令和7年度 観光庁関係予算総括表
令和7年度 観光庁関係予算総括表(観光庁の資料をもとに筆者作成)

2030年の訪日外客数の目標は6,000万人!地方観光地への誘客や受入環境整備が急務!

令和6年度補正予算の約543億円を加算すると約1,074億円になります。分野別で比較すると、およそ3分の2を地方を中心としたインバウンド観光客向けの対策に充てられていることが分かります。

観光庁 令和7年度予算・令和6年度予算額
令和7年度予算・令和6年度補正予算額(観光庁の資料をもとに作成)

日本政府観光局の統計(JNTO)によると、2024年の訪日外客数は約3,687万人でした。これはコロナ前の2019年時の数値である3,188万人を上回り、過去最高となりました。訪日外客数はこのまま伸び続けると予測されており、観光庁は2030年に約6,000万を目標としています

しかし、都市部を中心とした一部の観光地に観光客が集中してしまうオーバーツーリズムの問題が深刻であり、地方観光地への誘客促進が急務となっています。そのためには地方観光地の観光コンテンツの磨き上げ、外国人受入環境整備、宿泊事業者の人手不足対策を進めていく必要性が高く、観光庁の予算もインバウンド観光客向けの対策に多額の予算を投じているのです。

観光庁では、令和7年度においてもオーバーツーリズム対策につながる補助金が多く公募されていく予定です。

観光庁補助金 令和7年度の内容は?

前年度の倍近くの予算!「ICT等を活用した観光地のインバウンド受入環境整備の高度化」

インバウンドの更なる増加に伴い、消費額の拡大や地方誘客促進による経済効果を全国に波及させるための事業です。個々の観光スポットや広域的な周遊に係る一体的な環境整備の取組等が支援されます。

【事業内容】

◆インバウンド受入環境高度化事業

 ・多言語化、キャッシュレス、トイレ洋式化等の基礎的な受入環境整備

 ・ワーケーション環境の整備、ICTゴミ箱の設置、多様な移動手段の導入等

 ・ナイトタイムエコノミー、廃屋撤去等の賑わい環境の創出

 ・段差の解消、子連れ環境の整備等のユニバーサル対応支援

 ・観光案内所の整備等の観光拠点の整備・改良に係る支援

◆二次交通の高度化(新規)

 ・日本版/公共ライドシェア導入

 ・レンタカー貸渡の省人化や複数施設による共同送迎輸送等、地域の輸送資源の活用促進

 ・モード間連携による円滑な乗継・周遊(観光MaaS)

◆インバウンド安全・安心対策推進事業

 ・観光危機管理計画の策定支援

 ・多言語対応AED等

 ・非常用電源装置の整備

新規!「質の高い消費と投資を呼び込むためのデジタルノマド誘客促進事業」

日本でも令和6年4月よりデジタルノマド(パソコンやスマートフォンを使って旅をしながら仕事をする人)向けの在留制度が施行されました。それにより、今後は観光ビザの期間を超えたロングステイのデジタルノマドの増加が予想されます。滞在期間が長期化することによる消費額の拡大だけでなく、対日投資の拡大や日本企業とのビジネスマッチング機会の創出等の効果も期待されています。

【事業内容】

①調査事業:デジタルノマドの誘客に先進的に取り組むモデル地域を5地域選定し、デジタルノマドの特定に応じた以下の取組を総合的に実施。

  • デジタルノマド受入に必要な環境整備を支援(施設改修・整備、設備導入・物品購入等)
  • デジタルノマド受入に向けた体制の構築・中長期事業計画の策定
  • デジタルノマドに訴求するコンテンツ造成・受入環境整備
  • デジタルノマドの特性に応じたプロモーション
  • モニターツアーの開催

②補助事業:デジタルノマド受入に必要な環境整備を支援(施設改修・整備、設備導入・物品購入等)

 ※補助率1/2、補助上限500万円

令和6年度の注目事業は補正予算(約543億円)で継続!

令和6年度の補正予算は約543億円であり、この補正予算も令和7年度の補助金等に活用されます。

「地域観光”新発見”事業」「観光地・観光産業における人材不足対策事業」は令和6年度の補正予算で継続募集されます。

400万円まで定額の補助金!「地域観光魅力向上事業」

「地域観光魅力向上事業」は、令和6年度で多数募集のあった「地域観光”新発見”事業」の後継事業です。地方誘客をさらに促進するため、また、適切な販路開拓や情報発信を支援するための事業です。

補助額は令和6年度と同じで「400万円まで定額、400万円を超える部分については補助率1/2」です。つまり、最低事業費である600万円を地域の観光コンテンツ造成・販売に支出した場合、500万円の補助金が交付される計算になります。

一次公募は令和7年3月3日(月)より行われる予定です!

【地域観光魅力向上事業 概要】

◆事業目的・背景・課題

3大都市圏への需要の偏在が深刻化。地域の多様な観光資源を生かし、地方への来訪目的の創出が必要。また、適切な販路開拓や情報発信を行い、個人手配化・オンライン手配化への急激な転換に対応する。

◆事業内容

地域資源を活用した収益性が高く独自性・新規性のある観光コンテンツの開発から、適切な販路開拓や情報発信の総合的な支援を行う。

◆支援内容

・観光分野の専門家によるアドバイス等を通じた観光コンテンツの磨き上げや商品化の支援
・観光コンテンツの販路開拓のための商談会の開催OTA掲載等の支援、SNSによる情報発信等の支援

◆補助額

400万円まで定額、400万円を超える部分については補助率1/2

(補助上限:1,250万円、最低事業費:600万円)

◆補助対象事業者

地方公共団体、DMO(観光地域づくり法人)、民間事業者等

◆公募スケジュール(予定)

【一次公募】令和7年3月3日(月)~4月18日(金)予定

      ※令和7年5月下旬採択予定

【二次公募】令和7年6月予定

補助上限は500万円!「観光地・観光産業における人材不足対策事業」

令和6年度に引き続き、「観光地・観光産業における人材不足対策事業」も公募されることが決定しています。公募スケジュールはまだ発表されていません(2025年1月現在)が、補助上限500万円(補助率1/2)であることは発表されています。

【観光地・観光産業における人材不足対策事業 概要】

◆事業目的・背景・課題

インバウンドをはじめとする観光需要の急速な回復に伴い、宿泊業では人手不足が顕著となっている。機械化・DX化推進のための設備投資支援等の人手不足対策を実施し、インバウンドによる経済効果を最大限にする。

◆事業内容

人材活用の高度化に向けた設備投資支援(スマートチェックイン・アウト、配膳・清掃等ロボット、チャットボット、予約等管理システム(PMS)等)

◆補助額・補助率

補助上限500万円補助率1/2

◆補助対象事業者

宿泊事業者

※「人材活用の高度化に向けた設備投資支援」の部分のみ掲載

株式会社ai-soumuでは、「観光地・観光産業における人材不足対策事業」の申請サポートの受付を予定しております。サポート内容の詳細はこちらをご参照ください。

まとめ

令和7年度の観光庁関係予算は、前年度から約30億円増額となる約530億円が決定し、令和6年度補正予算と合わせると総額約1,074億円となりました。2024年の訪日外客数は約3,687万人と過去最高を記録し、インバウンド需要は高まり続けています。2030年には6,000万人、訪日外国人消費額15兆円という大きな目標の達成に向け、オーバーツーリズム対策などを進めていくことが急務とされています。

日本において、観光は「成長戦略の柱」「地方創生の切り札」と言われています。拡大し続けるインバウンド需要を取り込むため、地方誘客や人手不足対策を行って地域経済の発展を促すことが求められます。

各事業の公募時期や詳細については、観光庁のウェブサイトで随時発表される予定です。

〈参考〉

令和7年度「観光庁関係 予算決定概要」(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001854639.pdf

令和6年度「観光庁関係補正予算」(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001845636.pdf

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