2025年6月18日、IT導入補助金2025の第1次公募の交付決定事業者が発表されました。通常枠の採択率は50.7%、インボイス枠(インボイス対応類型)の採択率は57.6%という結果でした。これは、2024年度のIT導入補助金採択率が通常枠はおおむね70%台、インボイス枠がおおむね90%台であったことと比較すると、大幅な採択率ダウンであると言えます。
それでは、少しでも採択率を高めるためにはどのような対策を行ったら良いのでしょうか。
補助金において、加点項目の理解は採択率を高める鍵です。本記事では、2025年のIT導入補助金において最新の加点項目を解説し、加点を狙うための具体策を分かりやすく紹介します。
IT導入補助金(2025)の加点項目一覧
IT導入補助金2025の加点項目を、申請枠ごとに整理すると以下の通りです。
加点項目 | 通常枠 | インボイス枠 |
---|---|---|
①地域未来投資促進法に基づく承認取得 | 〇 | 〇 |
②地域未来牽引企業による目標提出 | 〇 | 〇 |
③導入するITツールとしてクラウド製品を選定 | 〇 | - |
④導入するITツールとして「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定 | 〇 | 〇 |
⑤導入するITツールとしてインボイス制度対応製品を選定 | 〇 | - |
⑥賃上げ計画 | 〇 | 〇 |
⑦デジwith(IT戦略ナビwith)実施 | 〇 | 〇 |
⑧健康経営優良法人 2025認定 | 〇 | 〇 |
⑨くるみん・えるぼし認定 | 〇 | 〇 |
⑩成長加速マッチングサービスでの課題登録 | 〇 | 〇 |
この中で、比較的取り組みやすい加点項目を紹介します。少しでも採択率を上げるために、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
「IT戦略ナビwith」で「IT戦略マップ」を作成する
デジタル化ポータルサイト「デジwith」において、「IT戦略ナビwith」を交付申請前に行うと、加点措置を受けることができます。
まず、「IT戦略ナビwith」のサイトにアクセスし、業種、所在地、従業員数、事業所数、資本金、売上高を選択し、GビズIDプライムを入力します。次に「IT戦略マップを作成する」の画面に進み、現在の経営課題や業務上の問題点などを選択肢から選んでいくと、実施結果が表示されます。その画面をPDF出力して交付申請時に提出してください。
IT戦略マップは5分程度で簡単に作成できますので、IT導入補助金申請において必ず取得したい加点項目と言えます。
【参考】IT戦略ナビwith
「成長加速マッチングサービス」に挑戦課題を登録
中小企業庁の「成長加速マッチングサービス」で課題登録し、ステータスが「掲載中」であることも新たに加点対象に加わりました。
成長加速マッチングサービスとは、事業拡大や新規事業立ち上げなどの成長志向を持つ事業者が、支援者とつながることができるマッチングプラットフォームです。そのプラットフォームに、支援を求める事業者として課題を登録することで加点措置を受けることができます。
課題登録にはGビズIDプライムを利用して会員登録し、必要事項を入力していきます。そこで、挑戦課題のタイトル(50文字以内)や目標・詳細(500文字以内)を入力する部分がありますので、事前にまとめておくと良いでしょう。
【参考】成長加速マッチングサービス
賃上げ計画の策定
賃上げはIT導入補助金の目的の一つでもあるので、重要な加点項目であると思われます。
加点を受けるには、以下の要件を全て満たす3年の事業計画を策定し、実行することが求められます。(通常枠では補助金申請額150万円未満の申請者が対象)
・事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。
・事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を1.5%以上とすること。
なお、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準にした場合は、更なる加点を受けることができます。
IT導入補助金で加点項目を活用するメリットと注意点
IT導入補助金において、それぞれの加点項目が具体的に何点の加点になるのかは明らかにはされておりません。しかし、申請した方が審査において有利になることは間違いありません。
ただし、一部注意すべき点もあります。ここでは、IT導入補助金において加点項目を活用するメリットと注意点を解説します。
メリット①:補助金採択率UP効果
加点項目を申請することで採択時の点数が増加し、審査において有利になります。できるだけ多くの加点項目の申請を心掛けましょう。一部の加点項目はIT導入補助金以外の経産省補助金でも加点申請ができます。今後、別の補助金を申請する際にも活用できる可能性がありますので、取り組めるものには挑戦した方が良いでしょう。
メリット②:従業員満足度向上につながる
IT導入補助金の加点項目には、「賃上げ」「健康経営」「女性活躍推進」など、従業員にとって喜ばしい変化をもたらす施策の計画・実行が含まれます。補助金申請をきっかけに企業側が賃上げや働き方改革に取り組むことで、従業員のモチベーションアップや離職防止にもつながることが考えられます。
デメリット:未達成の場合はペナルティの可能性がある
加点を受けて採択されたにも関わらず、加点要件を達成できなかった場合には、他の補助金申請で不利になってしまいます。効果報告で要件未達を報告してから18カ月の間、中小企業庁が所管する補助金への申請時に大幅に減点されてしまうのです。たとえば、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継・引継ぎ補助金などを申請しようとする場合に採択可能性が大幅に低くなります。
賃上げ加点を申請する際には、達成できそうな要件にて申請するように注意しましょう。
IT導入補助金の採択率を高めるために加点申請をしよう
IT導入補助金で加点を得るには、「複数の加点項目を計画的に準備し、申請時に提示できる状態にする」ことが重要です。
本記事を参考に、自社の加点項目を整理し、お早めに準備を始めましょう。
特に「IT戦略マップ」と「成長加速マッチングサービスへの課題登録」は比較的簡単に取り組めるのでお勧めです。可能であれば賃上げ計画の策定にも挑戦すると良いでしょう。
一つでも多くの加点申請を行い、IT導入補助金の採択率をUPさせましょう!
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