4大補助金の「ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金・事業承継引継ぎ補助金」を始め、経済産業省では様々な補助金を公募していますが、現在は2024年度は2023年度と比較して公募回数が少なく、申請するタイミングを逃してしまった人も多いのではないでしょうか。
概算要求の段階で来年度の補助金について、現段階である程度の予測をつけることができます。この機会に来年度に向けた投資計画を立ててみてはいかがでしょうか?
ポイント1:基本的な課題認識と対応の方向性は2024年度からほぼ同様
⚫ 物価高、構造的な人手不足等、厳しい経営環境に直面する中小企業・小規模事業者等に対する価格転嫁対策や資金繰り支援、省力化投資の支援等に万全を期すとともに、構造的賃上げの実現に向けた環境整備を図る。
⚫ その上で、30年で最高水準の設備投資額・賃上げ率となった「潮目の変化」の中、中小企業・小規模事業者の成長に向けた取組を後押しするため、予算・税等の政策手段を総動員する。
⚫ また、事業承継、社会課題解決等を通じて、地域経済の活性化を図る。
※中小企業庁のパンフレットから引用
来年度のキーワードは、今年度と同様、人手不足の対応や資金繰り支援、省力化投資の支援は継続して進めていくことに注力されます。また、事業承継や事業再編は、経営者の高齢化の問題を解決するために、継続的な支援が提供されていく予定です。
概算要求では、当初予算が引き上げられる予定
令和6年度と比較して218億円増の予算が計上されています。これまでの取り組みに加えて、多様な課題に対応するために予算が増加されていると考えられます。
昨今、経営課題は益々多様化しており、国策として対応できるためのメニューを多く取り揃えていく必要があります。補助金や税制特例の支援策だけでなく、よろず支援拠点や支援機関に対する人員増強や体制を整備することで、中小企業に対する支援策を強化されていくのでしょう。
ポイント2 物価高、人手不足等の厳しい経営環境への対応
適切な価格転嫁が行われるよう、価格交渉促進月間・下請代金法の執行強化等を通じて取引適正化を推進するとともに、資金繰り支援を通じて中小企業・小規模事業者の事業継続を強力に支援する。また、人手不足に対して省力化投資を支援するとともに、構造的賃上げの実現に向けた環境整備を図る。
※中小企業庁のパンフレットから引用
価格転嫁対策
◆中小企業取引対策事業【36億円(28億円)】
価格交渉促進月間や、下請Gメン等による取引実態の把握、下請法の厳正な執行、下請かけこみ寺での相談対応等を実施し、「価格交渉促進月間」(9月・3月)の実施や、下請代金法の執行強化、下請振興法に基づく「指導・助言」、企業名公表を通じた実効性向上、下請Gメンによるヒアリング、「パートナーシップ構築宣言」の実効性の向上、官公需等における労務費等の価格転嫁の徹底等
資金繰り支援
◆中小企業資金繰り支援事業【230億円(192億円)】
◆中小企業等の資金繰り支援【680億円(令和5年度補正) 】(財務省計上分51億円含む)
◆中小企業支援事業【366億円(260億円)の内数 】
日本政策金融公庫からの融資における金利を引下げるための利子補給や信用保証制度等を通じた資金繰り支援を実施。また、金利引下げ、資本性劣後ローンの供給等の継続・運用見直し。処理水放出に伴い売上減少に直面した水産加工業者に対する支援等も行う予定。中小企業活性化協議会による事業再生支援や事業承継・引継ぎ支援センターによる円滑な事業承継・引継ぎ支援等を実施する。
省力化対策・賃上げ対策
◆中小企業省力化投資補助制度【1,000億円(令和5年度補正) 】(既存基金の活用等含め総額5,000億円規模。事業再構築補助事業を再編)
人手不足に悩む中小企業等のため、省力化投資に関して、カタログから選ぶような汎用製品の導入への簡易で即効性ある支援が行われます。現在はカタログの登録スピードが遅く、申請者数も伸び悩んでいるようですが、徐々に活用しやすい補助金になります。
ただし、過去に一部の補助金を活用したことのある事業者が対象外とされたり、カタログに登録されている製品のみ補助金の対象となったりなど、申請には複数の条件があるので、公募要領をしっかりと抑えておく必要があります。
詳細は、当社のコラムに詳細を記載しておりますので、こちらの記事をご覧ください。
◆中堅・中小大規模成長投資補助金【1,000億円(令和5年度補正) 】 ※国庫債務負担含め3,000億円
地域の雇用を支える中堅・中小企業が、人手不足等の課題に対応するために行う、工場等の拠点の新設、大規模な設備投資を促進するもので、中堅企業となる規模の大きな事業者向けに2024年度から発足した新しい補助金です。小規模事業者は対象ではなく、事業規模や投資規模もまとまった金額感である必要がある等、ハードルは高く、求められる経営計画書のレベルも高いですが、大規模な投資に対して大きな補助金を獲得するチャンスですので、今のうちに来年度に向けて投資計画の策定を行うことを推奨します。
詳細は中堅・中小大規模成長投資補助金のホームページをご覧ください。
ポイント3 環境変化に挑戦する中小企業・小規模事業者等の成長支援
● 30年で最高水準の設備投資額・賃上げ率となった「潮目の変化」の中、中小企業・小規模事業者等による生産性向上・事業再構築等に向けた設備投資を支援する。
● また、「新規輸出1万者支援プログラム」を踏まえ、新規輸出に挑戦する中小企業を支援するとともに、売上高100億円以上への成長を目指す中小企業の成長を支援する。
※中小企業庁のパンフレットから引用
中小企業生産性革命推進事業【2,000億円(令和5年度補正)】
多くの方々が毎年注目している4大補助金の「ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金・事業承継引継ぎ補助金」は来年度も継続される可能性が高いです。スケジュール感としては、2023年度は通年で何度もチャレンジできましたが、2024年度は公募回数が少なく、活用したくてもできなかった方々も多いのではないでしょうか?
また、来年に向けて投資計画を立てていくことで、補助金が活用できる可能性が高まります。スケジュールがわかるのは、来年の1月~2月頃ですが、応募は5月6月には終わってしまうことが多いため、書類の準備はお早めに着手されることをお勧めします。
当社でも、補助金の申請支援のサポートを行っておりますので、気軽にご相談ください。
ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継補助金とは?
各補助金の特徴を簡単に説明
- ものづくり補助金: 製造業向けのイメージが強いが、幅広い業種が対象。高額な設備投資に活用可能している。
- IT導入補助金: 比較的申請しやすく、ITツール導入に特化している。
- 小規模事業者持続化補助金: 小規模事業者向けで、使いやすい補助金。販路開拓に重点が置かれている。
- 事業承継・引継ぎ補助金: 事業承継やM&Aに関連する取り組みに特化している。
各補助金は目的や対象が異なるため、自社の状況や目的に合わせて最適なものを選択することが重要です。
事業承継、再編等を通じた変革の推進
中小企業生産性革命推進事業の一つに入っている事業承継補助金だけでなく、経営者の高年齢化が進む中、地域の経済と雇用の基盤を支えるため、事業承継の円滑化を図るとともに、事業承継、再編等を契機に変革に挑戦する企業の生産性向上・成長も支援しています。
事業承継についてまずは相談したい中小企業は、事業承継引継ぎ支援センターに相談されると良いでしょう。
また、M&Aを行い、事業拡大を狙うことを視野に入れている方は、事業承継引継補助金を活用することで、キャッシュに余裕を持たせたり、思い切った投資もできるようになるため、積極的に活用していきましょう。
まとめ
令和7年度の補助金は、当初予算の概要チラシをご覧いただくことで、大まかにはわかります。ただし、あくまでも概算要求であるため確定事項ではありません。また、来年度の補助金のスケジュールは、12月~2月の間までにはわかるため、情報キャッチをこまめに行う必要があります。
令和6年度補正予算・令和7年度当初予算関連の概要はこちらをご覧ください。https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/gaisan_point.pdf
※本記事はこちらを参照しております。
投資内容に対して、どのような補助金が使えるのかわからないこともあるため、当社にご相談いただきますと、様々な切り口でご提案をさせていただきます。
相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。