中小企業省力化投資補助金カタログ注文型|最新データで解き明かす採択傾向

省力化投資補助金カタログ型の採択傾向分析

深刻化する人手不足に直面する中小企業にとって、省力化投資は経営を持続する上で避けて通れない重要課題となっています。中小企業省力化投資補助金カタログ注文型は、事前に登録された省力化製品をカタログから選んで導入できる補助金です。応募は随時可能で、申請手続きが比較的スムーズな補助金として、多くの中小企業から注目を集めています。

しかし、実際に申請を検討する際、「どのような企業が採択されているのか」「どの程度の補助金額が適切なのか」「どの製品カテゴリが採択されやすいのか」といった疑問を持つ経営者の方は少なくありません。本コラムでは、中小企業基盤整備機構が公表している2025年12月末時点の最新公式データに基づき、省力化投資補助金カタログ注文型の採択傾向を徹底的に分析します。

業種別、補助金申請額別、企業規模別、製品カテゴリ別という多角的な視点から、2,294件の採択事例を詳細に読み解くことで、採択に至る明確なパターンと重要なポイントを明らかにします。これから申請を検討される中小企業の皆様にとって、採択可能性を高めるための具体的な戦略立案に役立つ情報を提供いたします。

目次

省力化投資補助金カタログ型の交付決定件数と推移

中小企業省力化投資補助金のカタログ注文型は、人手不足に悩む中小企業が、事前に登録された省力化製品を導入する際に活用できる補助金制度です。2025年12月末時点での公式データによると、交付決定件数は2,294件に達しており、多くの中小企業が本補助金を活用して省力化投資を実現しています

出典:中小企業省力化投資補助金カタログ型ウェブサイト「交付申請数及び交付決定数の推移」

本補助金の特徴は、カタログに登録された製品から選択することで、申請手続きが比較的スムーズに進む点にあります。交付申請数と交付決定数の推移を見ると、制度開始以降、着実に採択実績が積み上がっていることがわかります。これは、中小企業における省力化ニーズの高まりと、本補助金制度の認知度向上を示しています。

採択件数は愛知県が最多

採択された2,294件の事業者は、全国47都道府県にわたって分布しています。特に愛知県153件(6.7%)、福岡県124件(5.4%)、大阪府120件(5.2%)、東京都109件(4.8%)と、経済活動が活発な地域での採択が多い傾向にあります。しかし、地方においても一定数の採択実績があり、全国的に活用されている補助金であることが確認できます。

出典:「中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型 交付決定概要(2025年12月末時点)」

交付決定に至った事業者の特徴を分析することで、今後申請を検討する中小企業にとって、採択可能性を高めるための重要な示唆が得られます。

次章以降では、業種別、補助金額別、企業規模別、製品カテゴリ別といった多角的な視点から、採択傾向の詳細を解説していきます。

業種別にみる省力化投資補助金カタログ型の採択傾向

採択率が高い業種トップ3と業種別特徴

省力化投資補助金カタログ注文型の採択データを業種別に分析すると、明確な傾向が浮かび上がります。2025年12月末時点の交付決定2,294件のうち、建設業、製造業、学術研究・専門技術サービス業、飲食サービス業の4業種で全体の約83%を占めており、これらの業種における人手不足と省力化ニーズの高さが数字に表れています。

出典:「中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型 交付決定概要(2025年12月末時点)」

建設業(38.0%)が最多採択の理由

建設業は871件の採択を獲得し、全体の38.0%と圧倒的なシェアを占めています。この背景には、建設業界が直面する深刻な人手不足と、測量業務における省力化ニーズの高まりがあります。特に測量機(自動視準・自動追尾機能付き高機能トータルステーション)が建設業の採択件数の86.6%を占めており、測量作業の効率化が業界全体の重要課題となっていることがわかります

建設業における省力化投資は、現場作業の生産性向上に直結します。従来、測量作業には複数人の作業員が必要でしたが、高機能トータルステーションの導入により、少人数でも高精度な測量が可能になります。また、GNSS測量機(RTK)や地上型3Dレーザースキャナーといった先端機器の導入も進んでおり、建設業界全体でデジタル化が加速していることが読み取れます。

出典:「中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型 交付決定概要(2025年12月末時点)」

製造業(24.1%)における採択傾向

製造業は552件で全体の24.1%を占め、第2位の採択実績となっています。特徴は、導入製品カテゴリが多岐にわたる点です。産業用枚葉デジタル印刷機(15.2%)、スチームコンベクションオーブン(8.7%)、鍛圧・板金加工用バリ取り装置(8.7%)など、製造工程の自動化・効率化に寄与する設備が幅広く採択されています。

特に印刷・同関連業、食品製造業、パルプ・紙・紙加工品製造業での採択が目立ちます。これらの業種では、小ロット多品種生産への対応や、人手に頼っていた工程の自動化が重要な経営課題となっています。デジタル印刷機の導入により、版を作成する手間とコストを削減しながら、小ロット対応が可能になるなど、市場ニーズの変化に対応する投資が進んでいます。

出典:「中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型 交付決定概要(2025年12月末時点)」

学術研究・専門技術サービス業(10.5%)と飲食サービス業(10.2%)の特徴

学術研究・専門技術サービス業は241件(10.5%)、飲食サービス業は233件(10.2%)と、ほぼ同数の採択実績を示しています。測量や分析業務に関連する高度な機器導入が中心となっており、専門性の高いサービス提供における省力化が進んでいます。

一方、飲食サービス業では、券売機(46.4%)とスチームコンベクションオーブン(46.8%)が採択の大半を占めています。券売機の導入により、注文受付や会計業務の省人化が実現し、調理スタッフが本来の業務に集中できる環境が整います。スチームコンベクションオーブンは、調理工程の標準化と効率化を可能にし、熟練スタッフへの依存度を下げる効果があります。飲食業界特有の人手不足への対応策として、これらの設備投資が積極的に行われていることが確認できます。

出典:「中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型 交付決定概要(2025年12月末時点)」

補助金申請額からみる省力化投資補助金の採択データ分析

採択されやすい補助金申請額の分布傾向

省力化投資補助金カタログ注文型の採択傾向を補助金申請額の観点から分析すると、中小企業が実際にどの程度の規模の設備投資を行っているかが明確になります。2025年12月末時点のデータによると、補助金申請額は50万円未満から1,500万円まで幅広い分布を示していますが、特定の金額帯に採択が集中する傾向が見られます。

出典:「中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型 交付決定概要(2025年12月末時点)」

50万円以上100万円未満が最多(31.6%)の理由

最も採択件数が多いのは、50万円以上100万円未満の金額帯で、全体の31.6%(725件相当)を占めています。この金額帯が最多となる理由は、中小企業にとって導入しやすい価格帯の省力化機器が多く存在することと、補助金を活用することで自己負担を抑えながら効果的な設備投資が可能になる点にあります。比較的小規模な投資でも、明確な省力化効果が見込める製品が選ばれている実態が読み取れます。

150万円未満で全体の約50%を占める採択の実態

次いで多いのが100万円以上150万円未満の金額帯で18.3%を占めています。50万円以上150万円未満の金額帯を合計すると、全体の約50%に達します。つまり、採択事業者の半数は、補助金申請額150万円未満の比較的小規模な投資を行っていることになります。これは、本補助金制度が、大規模な設備投資だけでなく、中小規模の実用的な省力化投資を幅広く支援している証拠といえます。

高額投資案件の採択傾向と製品カテゴリの関係

一方で、500万円以上の高額な補助金申請も一定数存在します。500万円以上600万円未満が4.1%、それ以上の金額帯も合計で約10%の採択実績があります。これらは、製造業における産業用デジタル印刷機や加工機械、建設業における高精度測量機器など、高度な機能を持つ設備投資に該当します。企業規模や導入目的に応じて、幅広い投資規模の申請が採択されていることがわかります。

補助金額より重要な「省力化効果」の明確性

補助金申請額の分布から読み取れる重要なポイントは、必ずしも高額な投資でなくても採択される可能性が十分にあるという点です。むしろ、自社の経営課題に対して適切な省力化効果が見込める投資であれば、金額の大小にかかわらず採択されています。申請を検討する際は、投資額の大きさよりも、導入する製品が自社の省力化ニーズにどれだけマッチしているかを重視することが、採択への近道となります。

企業規模別の省力化投資補助金カタログ型採択状況|従業員数・資本金規模からみる採択傾向

省力化投資補助金カタログ注文型の採択状況を企業規模の観点から分析することで、どのような規模の中小企業が本補助金を活用しているかが明らかになります。従業員数と資本金という二つの指標から見ると、比較的小規模な事業者ほど積極的に本補助金を活用している傾向が確認できます。

従業員5人以下の小規模事業者が18.4%で最多

出典:「中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型 交付決定概要(2025年12月末時点)」

従業員数別の採択状況を見ると、5人以下の事業者が18.4%(422件相当)で最も多い採択実績となっています。これは、小規模事業者ほど人手不足の影響を受けやすく、省力化投資の必要性が高いことを示しています。わずかな人員の欠員でも事業運営に大きな影響が出るため、設備投資による省力化が経営上の重要課題となっているのです。

次いで、6人から10人の事業者が14.1%、11人から15人が13.3%と続きます。従業員20人以下の事業者を合計すると、全体の55.8%に達します。つまり、採択事業者の半数以上が従業員20人以下の小規模事業者であることがわかります。本補助金制度が、真に人手不足に悩む小規模事業者の支援に貢献している実態が数字に表れています。

従業員21人以上の中規模事業者の採択状況

従業員21人から50人の事業者も一定数の採択を得ており、合計で約20%を占めています。この規模の事業者は、特定の工程や業務における省力化を図ることで、既存の人員をより付加価値の高い業務に配置転換する戦略的な投資を行っている傾向があります。また、従業員51人以上の事業者も約24%の採択実績があり、企業規模を問わず幅広い事業者が本補助金を活用していることが確認できます。

資本金1,000万円から3,000万円未満が採択の中心層

出典:「中小企業省力化投資補助事業 カタログ注文型 交付決定概要(2025年12月末時点)」

資本金別の採択状況では、1,000万円以上2,000万円未満が22.0%(505件相当)で最も多く、次いで2,000万円以上3,000万円未満が19.0%となっています。この二つの金額帯で全体の41.0%を占めており、資本金規模が中程度の企業が採択の中心となっています。これらの企業は、一定の財務基盤を持ちながらも、補助金を活用することで投資負担を軽減し、積極的な省力化投資を実現しています。

個人事業主と小規模法人の採択実績

注目すべき点として、個人事業主が14.5%(333件相当)の採択を得ていることが挙げられます。個人事業主は資本金を持たないため別途分類されていますが、この採択割合は決して小さくありません。資本金100万円未満の小規模法人も10.2%の採択実績があります。本補助金制度が、事業規模の小さな事業者にも広く門戸を開いていることがわかります。

企業規模と採択可能性の関係性

従業員数と資本金のデータから読み取れる重要な示唆は、企業規模の大小が採択の可否を決定する要因ではないという点です。むしろ、小規模事業者ほど人手不足の課題が深刻であり、省力化投資の必要性が高いため、適切な申請を行えば採択される可能性は十分にあります。事業規模にかかわらず、自社の経営課題を明確にし、それに対する解決策として省力化投資の効果を具体的に示すことが、採択への鍵となります。

製品カテゴリ別の採択傾向|人気製品トップ3を解説

測量機が圧倒的1位(41.5%)

測量機(自動視準・自動追尾機能付き高機能トータルステーション)は952件の採択を獲得し、全体の41.5%を占める圧倒的な1位となっています。この背景には、建設業における深刻な人手不足と、測量業務のデジタル化ニーズの高まりがあります。従来の測量作業では複数の作業員が必要でしたが、高機能トータルステーションの導入により、一人でも高精度な測量が可能になります。

建設業の採択件数871件のうち、測量機の導入が754件(86.6%)を占めていることからも、建設業界において測量作業の省力化が最優先課題となっていることがわかります。また、GNSS測量機(RTK)が53件(2.3%)、地上型3Dレーザースキャナーが92件(4.0%)採択されており、測量関連機器全体で約48%の採択シェアを持っています。建設DXの推進という国の政策方針とも合致した投資といえます。

スチームコンベクションオーブン(9.8%)と券売機(6.5%)の活用事例

第2位のスチームコンベクションオーブンは225件(9.8%)の採択実績があります。この製品は飲食サービス業での採択が中心で、同業種の採択件数233件のうち109件(46.8%)を占めています。スチームコンベクションオーブンは、焼く・蒸す・煮るといった多様な調理を一台でこなせる万能調理機器であり、調理工程の標準化と効率化を実現します。熟練の調理スキルに依存せず、一定品質の料理を提供できるため、人材育成コストの削減にもつながります

興味深いのは、飲食サービス業以外での採択事例も確認できる点です。製造業(食品製造業)で48件、宿泊業で18件、その他サービス業(自動車整備業、ビルメンテナンス業)で1件など、多様な業種で導入されています。これは、社員食堂や併設飲食店における調理業務の省力化ニーズが、業種を超えて存在することを示しています。

第3位の券売機は150件(6.5%)の採択となっています。飲食サービス業での採択が108件(46.4%)と最も多く、注文受付と会計業務の省人化に大きく貢献しています。券売機の導入により、ホールスタッフの業務負担が軽減され、接客サービスの質向上や調理業務への人員配置が可能になります。また、宿泊業で6件、小売業で1件、その他サービス業で15件など、幅広い業種で活用されている点も特徴的です。

業種別に見る導入製品の傾向と戦略的選択

製品カテゴリの採択傾向を業種別に見ると、それぞれの業種特有のニーズが明確に表れています。製造業では、産業用枚葉デジタル印刷機(15.2%)、鍛圧・板金加工用バリ取り装置(8.7%)、自動裁断機(6.2%)など、製造工程の自動化に直結する設備が上位を占めています。特に印刷業や食品製造業では、小ロット多品種生産への対応や、手作業工程の機械化が重要課題となっています。

小売業では、印刷物インサーター(26.1%)が最も多く採択されています。これは、チラシやDMの封入作業を自動化する設備で、販促活動における省力化を実現します。次いで、スチームコンベクションオーブン(17.6%)、清掃ロボット(10.3%)が続きます。店舗運営における多様な業務の省力化が進んでいることがわかります。

宿泊業では、自動チェックイン機(26.2%)、スチームコンベクションオーブン(42.9%)、清掃ロボット(14.3%)、券売機(14.3%)と、フロント業務、調理業務、清掃業務という主要業務すべてにおいて省力化投資が行われています。宿泊業は24時間対応が必要な業種であるため、複数の業務領域で同時に省力化を進める必要性が高いことが反映されています。

ニッチな製品カテゴリにも採択チャンスがある

採択件数上位の製品以外にも、清掃ロボット(104件)、地上型3Dレーザースキャナー(92件)、産業用枚葉デジタル印刷機(85件)、食品包覆機(57件)など、特定業種のニーズに特化した製品も一定数の採択を得ています。さらに、採択件数が1件から数件程度の製品カテゴリも多数存在しています。ニッチな省力化ニーズにも対応できる制度設計となっていると言えます。

重要なポイントは、自社の業種や経営課題に最適な製品を選択することが採択への近道であるという点です。人気製品を選ぶのではなく、自社の省力化すべき業務を明確にし、それに最も効果的な製品を選定することが、補助金申請の成功につながります。

まとめ|省力化投資補助金カタログ型採択のポイントと今後の申請戦略

中小企業省力化投資補助金カタログ注文型の採択傾向データ分析から、採択に至る重要なポイントが明らかになりました。2025年12月末時点で2,294件の交付決定が行われており、全国の中小企業が本補助金を活用して省力化投資を実現しています。

業種別では建設業(38.0%)と製造業(24.1%)が上位を占めますが、これは人手不足が深刻な業種ほど申請が多いことの反映です。補助金申請額は50万円以上100万円未満(31.6%)が最多で、高額投資でなくても十分に採択される可能性があります。企業規模別では、従業員5人以下の小規模事業者が18.4%で最多となり、事業規模の小ささが採択の障壁にならないことが確認できました。

製品カテゴリでは測量機(41.5%)が圧倒的1位です。しかし、重要なのは自社の経営課題解決に直結する製品を選定することです。採択への近道は、自社が抱える人手不足や業務効率化の課題を明確にし、その解決に最適なカタログ製品を選び、導入後の省力化効果を具体的に示すことです。本補助金制度は、企業規模や投資額にかかわらず、真に省力化を必要とする中小企業を幅広く支援しています。

株式会社ai-soumuでは、補助金申請をご支援しております。初回相談は30分無料ですので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

株式会社 ai-soumu(エーアイソウム)
代表取締役 上瀬戸研次
中小企業診断士

事業会社にて18年に渡り経理・総務・人事・情報部門といったバックオフィス業務に従事。
会社設立後はバックオフィスの業務改善・DXの専門家として、IT導入補助金を活用してクラウド会計をはじめ、各種SaaSの販売および導入支援を行う。

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