成長加速化補助金の概要と、1次公募の採択傾向から読み解く申請準備のポイント

中小企業成長加速化補助金は、将来の売上高100億円を目指し、大胆な投資を進めようとする中小企業の取組を支援する制度です。

2次公募の受付期間は令和8年2月24日(火)から3月26日(木)15:00までです。申請は電子申請システム「jGrants」で行うため、GビズIDの取得が必須です。GビズIDの取得には2週間程度要する場合があるため、余裕を持って準備してください。

1次公募では有効申請1,270件に対し、採択はわずか207件という厳しい競争でした。採択率は約16.3%、採択倍率は約6.1倍です。2次公募も同等以上の競争が予想されるため、要件を満たすだけでなく、審査観点(経営力・波及効果・実現可能性)を意識した事業計画の作り込みが不可欠です。

本記事では、2次公募の要件を整理した上で、1次公募の採択者一覧から読み取れる地域傾向・投資テーマの実態を可視化し、申請前に確認すべきポイントを解説します。


目次

成長加速化補助金の申請要件を完全解説|投資額・賃上げ・100億宣言の4要件

対象企業の条件とは?売上高10億円以上100億円未満の中小企業

成長加速化補助金は、売上高10億円以上100億円未満の中小企業が、将来の100億円到達を目指して実施する投資額1億円以上(税抜)の大型プロジェクトを支援する制度です。

対象となる企業の主な要件

  • 日本国内に本社を置く中小企業
  • 売上高が10億円以上100億円未満
  • 「みなし大企業」または「みなし同一法人」に該当しないこと
  • 直近3年間の平均年間課税所得が15億円を超えないこと

成長加速化補助金の4つの申請要件|投資1億円・賃上げ4.5%・100億宣言・国内実施

2次公募で申請するには、以下の4要件を全てクリアする必要があります。

①投資額1億円以上(税抜)

建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計が1億円以上であること。外注費・専門家経費は補助対象経費ですが、この「投資額1億円」の計算には含まれません。また、外注費および専門家経費の補助対象経費の合算金額は、投資額未満でなければなりません。

②「100億宣言」の公表

申請時までに、100億企業成長ポータルサイト(https://growth-100-oku.smrj.go.jp)で「100億宣言」を公表していること。100億宣言の公表に係る手続は、通常2~3週間ほどかかります。補助金申請を検討される場合は、お早めに100億宣言を進める必要があります。

③賃上げ要件の達成計画

今後約5年間の事業計画において、基準年度3年後の年平均上昇率が4.5%以上であることが必要です。この4.5%は、2020年度を基準とした直近5年間(2021年度〜2025年度)の全国の最低賃金の年平均上昇率に基づく基準率です。

〈1次公募からの重要な変更点
1次公募では都道府県ごとに異なる基準率(3.1%〜4.3%)が設定されていましたが、2次公募では全国一律4.5%となりました。どの都道府県で事業を実施する場合でも、同じ基準率が適用されます。

目標未達成時は、補助金の一部または全部の返還が求められます。

④国内での事業実施

補助事業は日本国内で実施すること。

補助率1/2・上限5億円|建物費・機械装置費など対象経費5区分

項目内容
補助率1/2以内
補助上限額5億円
対象経費建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費

注意点

  • 更新投資は原則対象外です。「既存の老朽化設備を入れ替えるなど生産能力等が向上しない投資」は認められません。生産能力向上・品質向上・業務効率化など、定量的な成果が示せる投資であることが求められます。
  • 賃上げ要件未達成時は、未達成率に応じて補助金の返還を求められます。ただし、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還を求めません。

 jGrants申請の流れとスケジュール〈令和8年2月24日〜3月26日受付

2次公募の受付期間は、令和8年2月24日(火)から令和8年3月26日(木)の15時までです。この締切時刻は厳守となっており、1分でも過ぎると申請が受理されませんので、十分な余裕を持って申請手続きを完了させることをお勧めします。

成長加速化補助金の申請は、電子申請システム「jGrants( https://www.jgrants-portal.go.jp/ )」を通じて行います。jGrantsでの申請にはGビズIDプライムアカウントが必要となるため、まだ取得されていない方は早急に手続きを開始してください。GビズIDの取得には2週間程度かかる場合があるため、申請期限ギリギリではなく、余裕を持った準備が推奨されます。

成長加速化補助金は1次書面と2次プレゼンで審査

審査は1次審査(書面審査)2次審査(プレゼンテーション審査)の2段階で実施されます。

1次審査(書面審査

事務局が、提出された申請書類に基づき、形式要件(中小企業確認等)の適格性の確認および計画の効果・実現可能性等について定量面の審査を行います。

2次審査(プレゼンテーション審査

1次審査を通過した申請について、地域ブロック単位で審査会を設置し、外部有識者による計画の効果・実現可能性等について定性面も含めた審査を行います。経営者自身の出席と説明が必須です。

審査の3つの観点

  1. 経営力: 経営者のビジョン、リーダーシップ、組織体制
  2. 波及効果: 地域経済への貢献、雇用創出、取引先への好影響
  3. 実現可能性: 資金計画の妥当性、実施体制、スケジュールの現実性

プレゼン審査では、事業計画の説得力や経営者の熱意が直接評価されるため、十分な準備が必要です。


成長加速化補助金1次公募の採択率は16.3%

採択倍率6.1倍の実態|有効申請1,270件・採択207件の狭き門

1次公募の結果は以下の通りです。

項目件数
有効申請件数1,270件
採択件数207件
採択倍率約6.1倍

約6件に1件しか採択されない厳しい競争です。要件を満たすだけでは不十分で、審査観点(経営力・波及効果・実現可能性)を意識した計画の深掘りが採択の決め手となります。

不採択理由の通知と2次公募への対策

不採択となった申請者には、9月末を目処に具体的な理由が通知されました。2次公募に向けて、1次公募で不採択となった企業が計画をブラッシュアップして再挑戦するケースも想定されるため、初回申請企業との競争はさらに激化する可能性があります。

成長加速化補助金1次公募の採択者データ分析|売上成長率・賃上げ率・投資比率の実態

1次公募の採択者207件について、中小企業基盤整備機構が公表した各種指標データから、採択された企業の特徴を詳しく分析します。このデータは、2次公募に向けた事業計画作りの重要な参考指標となります。

採択者と申請全体を比較すると、採択された企業は申請全体よりも高い成長目標を掲げていることが明らかになりました。

出典:「中小企業成長加速化補助金 1次公募における各種指標」

以下、主要な7つの指標について、採択者と申請全体の数値を比較します。

①売上高成長率|採択者は年平均26.4%の高成長目標

項目採択者(平均値)採択者(中央値)申請全体(平均値)申請全体(中央値)
全社売上成長率(年平均上昇率)26.4%/年23.7%/年17.8%/年15.7%/年

読み解きポイント

  • 採択者の売上成長率は平均26.4%/年と、申請全体の17.8%/年を約8.6ポイント上回る高い目標を設定しています。
  • 中央値でも採択者23.7%に対し申請全体は15.7%と、約8ポイントの差があります。
  • 審査では「100億円到達に向けた成長ストーリーの説得力」が重視されており、単なる設備投資ではなく、売上拡大シナリオの具体性が評価されたと推測されます。

2次公募への示唆
補助事業完了後3年間で年平均20%以上の売上成長を見込める投資計画が、採択の目安となる可能性があります。

②付加価値増加率|採択者は年平均27.6%の高水準

項目採択者(平均値)採択者(中央値)申請全体(平均値)申請全体(中央値)
全社付加価値増加率(年平均上昇率)27.6%/年25.6%/年18.4%/年15.3%/年

読み解きポイント

  • 付加価値増加率は、採択者が平均27.6%/年と、申請全体の18.4%/年を約9.2ポイント上回る目標です。
  • 付加価値とは「営業利益+人件費+減価償却費」であり、企業の真の稼ぐ力を示す指標です。
  • 審査では、単なる売上拡大ではなく、利益率の向上・高付加価値化が評価されていることが分かります。

2次公募への示唆
投資によって「何をどう付加価値化するか」(高単価商品への転換、自動化による生産性向上など)を明確に説明できる計画が有利です。


③売上高投資比率|採択者は売上の53.7%を投資に充てる大胆さ

項目採択者(平均値)採択者(中央値)申請全体(平均値)申請全体(中央値)
売上高投資比率(最新決算期における比率)53.7%44.0%32.7%23.9%

【読み解きポイント

  • 採択者の売上高投資比率は平均53.7%と、申請全体の32.7%を約21ポイント上回る大規模投資です。
  • 中央値では採択者44.0%に対し申請全体は23.9%と、約2倍の投資規模となっています。
  • 補助金の趣旨である「大胆な投資」を実践している企業が採択されており、投資の本気度が審査で評価されたことが読み取れます。

【2次公募への示唆
最新決算期の売上高の40%〜50%に相当する大規模投資(補助事業全体の経費規模)を計画することが、採択の一つの目安となる可能性があります。ただし、資金計画の実現可能性も同時に求められます。


④⑤賃上げ率|採択者は基準率4.5%を大きく上回る目標設定

項目採択者(平均値)採択者(中央値)申請全体(平均値)申請全体(中央値)
従業員及び役員の1人当たり給与増加率(年平均上昇率)5.9%/年5.6%/年4.8%/年5.0%/年
給与支給総額の増加率(年平均上昇率)17.2%/年10.1%/年9.3%/年6.0%/年

読み解きポイント

  • 採択者の1人当たり給与増加率は平均5.9%/年と、基準率4.5%を1.4ポイント上回る目標です。
  • 給与支給総額では、採択者は平均17.2%/年と申請全体の9.3%/年を約7.9ポイント上回る高い目標を設定しています。これは、売上拡大に伴う新規雇用の増加も含まれていると推測されます。
  • 審査では、基準率ギリギリではなく、より高い賃上げ目標を掲げた企業が評価される傾向が見られます。

2次公募への示唆
賃上げ要件の基準率は4.5%ですが、採択を目指すなら5.5%〜6.0%程度の目標設定が望ましいと言えます。ただし、達成可能性を慎重に見極める必要があります。


⑥財務健全性|採択者はローカルベンチマーク21.6点の安定性

項目採択者(平均値)採択者(中央値)申請全体(平均値)申請全体(中央値)
ローカルベンチマークの得点21.6点21.7点20.8点21.0点

読み解きポイント

  • ローカルベンチマークは、企業の財務健全性を示す指標(満点は24点)です。
  • 採択者の平均は21.6点と、申請全体の20.8点を約0.8ポイント上回る水準です。
  • 大きな差ではありませんが、審査では「大規模投資を実行できる財務基盤」も評価されていることが分かります。
  • なお、採択者における「金融機関による確認書」の提出率は96.1%(199件/207件)と非常に高く、金融機関の支援体制も採択要因の一つと推測されます。

2次公募への示唆
財務健全性が極端に低い場合、実現可能性の観点で減点される可能性があります。金融機関との連携(融資計画・確認書の取得)を事前に整えることが推奨されます。

⑦⑧その他の参考数値|売上高と補助事業規模

項目採択者(平均値)採択者(中央値)申請全体(平均値)申請全体(中央値)
最新決算期の売上高29.5億円21.9億円40.7億円34.8億円
補助事業全体に要する経費(税抜)12.7億円11.0億円9.7億円8.8億円

読み解きポイント

  • 採択者の売上高は平均29.5億円と、申請全体の40.7億円よりも低い傾向があります。これは、売上規模の小さい企業の方が、100億円到達に向けた成長余地が大きいと評価された可能性があります。
  • 補助事業全体の経費は、採択者が平均12.7億円と申請全体の9.7億円を約3億円上回る規模です。大規模投資の実行意欲が評価されたと言えます。
  • 中央値では、採択者は売上高21.9億円に対し補助事業経費11.0億円と、売上の約50%規模の投資を計画しています(上記③の売上高投資比率と整合)。

2次公募への示唆
売上高が比較的小さくても(10億円台〜30億円台)、成長ポテンシャルと投資の本気度を示せれば採択の可能性は十分にあります。


成長加速化補助金の採択地域ランキング|東京28件・埼玉16件など上位10都道府県

1次公募の採択者一覧を「主な事業実施場所」で集計すると、以下のような地域分布が見えてきます。

1次公募の地域別採択件数トップ10

順位都道府県採択件数
1東京28件
2埼玉16件
3静岡12件
4愛知11件
5千葉11件
6兵庫10件
7神奈川10件
8岡山9件
9福岡9件
10大阪9件

地域格差より事業計画の質が採択の決め手

首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)の集中
上位10のうち4都県が首都圏で、合計65件と全体の約3割を占めます。物流・DX・製造業の集積地として、大型投資案件が多い傾向です。

製造業集積エリア(静岡・愛知・兵庫・大阪)
静岡・愛知は自動車部品や機械製造、兵庫・大阪は素材・化学などの重厚長大産業が強く、工場増設・生産能力増強案件が目立ちます。

地方中核都市(岡山・福岡)
岡山・福岡など地方中核都市でも採択実績があります。地域経済への波及効果(雇用創出・地域サプライチェーン強化)が評価された案件が多いと推測されます。

重要な注意点

この地域分布は「地域による有利・不利」を示すものではありません。そもそも企業数・申請数が多い地域ほど採択数も多くなるため、地域よりも事業計画の内容が採択の決め手です


成長加速化補助金の採択テーマ分析|新工場増設65件・DX15件など8つの傾向

採択者一覧の「補助事業名」をキーワードで分類すると、以下のような投資テーマ別の傾向が見えてきます。

投資テーマ別採択件数ランキング

投資テーマ件数(推定)
新工場・施設増設/生産能力増強約65件
食品・飲料(酒造・外食含む)約25件
DX・デジタル化(AI/データ活用含む)約15件
資源循環・リサイクル・脱炭素約14件
EV・半導体など次世代産業約12件
物流・倉庫約11件
観光・宿泊(インバウンド含む)約10件
自動化・省人化(単独で強く明示)約8件

※これらの件数は、補助事業名に含まれるキーワードからの推定分類であり、実際の事業内容とは完全には一致しない可能性があります。

採択されやすい投資テーマの特徴と具体例

①新工場・施設増設/生産能力増強(約65件

最も多い投資テーマです。既存事業の拡大・生産能力の倍増を目指すケースが大半で、審査では「なぜ今、この規模の投資が必要か」「競合優位性をどう築くか」が問われます。

事業例

  • 飯山工場増設および生産能力増強・加工能力向上(株式会社カワモト)
  • 船橋新工場 未来プロジェクト(株式会社サカエ)

②食品・飲料約25件

地域ブランド食材の加工・海外展開、酒造・外食チェーンの拠点拡大など、「地域×食」の成長戦略が目立ちます。波及効果(地域雇用・観光)の訴求が重要です。

事業例

  • 北一ミート株式会社生産能力増強事業
  • 国産樽と国産麦芽による挑戦(有明産業株式会社)

③DX・デジタル化約15件

AI・データ活用によるビジネスモデル変革、業務効率化、新サービス開発など。審査では「既存事業との差別化」「スケーラビリティ」が評価ポイントです。

事業例

  • AIシールド構想 AI技術を活用したデジタルリスクマネジメント事業(株式会社エルテス)
  • IT企業が手掛けるガジェットの一貫生産(株式会社サイバーレコード)

④資源循環・リサイクル・脱炭約14件

政府のカーボンニュートラル政策と連動し、廃棄物処理・リサイクル事業の高度化案件が増加。波及効果(環境負荷低減)の訴求が強みになります。

事業例

  • 循環型経済を牽引するスマートリサイクル工場建設(株式会社萬年)
  • 脱炭素先進2事業(FRPリサイクル+E-scrap)でサーキュラーエコノミーに貢献(宏幸株式会社)

⑤EV・半導体など次世代産業(約12件

自動車の電動化・半導体需要増を背景に、部材供給・加工技術の高度化案件が目立ちます。実現可能性(技術開発リスク)の説明が重要です。

事業例

  • 電気自動車用ヒートシンク材の量産化(株式会社FJコンポジット)
  • 半導体戦略をささえるプラスチック加工のプロ製造強化事業(プラスチック加工興和株式会社)

⑥物流・倉庫(約11件

物流2024年問題(ドライバー不足)を背景に、倉庫拡張・自動化・配送網再編の案件が増加。実現可能性(労働力確保)の説明がポイントです。

事業例

  • 人的資本と効率物流の融合による次世代物流モデルの確立(株式会社スマートビジョンロジスティクス)
  • 次世代の産業インフラを支える倉庫整備事業(株式会社サン・エキスプレス)

⑦観光・宿泊(約10件

インバウンド需要回復を見込んだ宿泊施設の新設・リノベーション案件。波及効果(地域観光振興)の訴求が採択のカギです。

事業例

  • 空き家からの極上体験創出、一客一亭で挑む宿泊事業の成長加速(株式会社紀伊乃国屋)
  • 海外富裕層を呼込み観光市場を創出(株式会社本陣平野屋)

⑧自動化・省人化(約8件)

人手不足対応として、ロボット・自動化ラインの導入案件。実現可能性(既存業務との統合)の説明が求められます。

事業例

  • 汎用自動化ラインの本格市場投入と地域企業スキームによる成長加速化(グローテック株式会社)
  • 設置型社食事業の物流・製造における機械化・省人化(株式会社KOMPEITO)

成長加速化補助金2次公募の申請前チェックリスト

1次公募の採択傾向を踏まえ、2次公募に向けて申請前に確認すべき5つのポイントを整理します。

投資額1億円は建物・機械・ソフトウェアの合計

「投資額1億円以上」は、建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計です。外注費・専門家経費は補助対象経費ですが、この「投資額1億円」の計算には含まれません。また、外注費および専門家経費の補助対象経費の合算金額は、投資額未満でなければなりません。

よくある誤解
「外注費も含めて1億円」と誤解し、建物・機械・ソフト単独では1億円に届かないまま申請すると、要件不備で不採択となります。

チェック方法
見積書を取り寄せ、建物費・機械装置費・ソフトウェア費の税抜合計が1億円以上になることを確認してください。

100億宣言は申請時までの公表が必須条件

「100億宣言」は、申請時までに100億企業成長ポータルサイトで公表されている必要があります。申請後の公表は認められません。

手順

  1. 100億企業成長ポータルサイト(https://growth-100-oku.smrj.go.jp)にアクセス
  2. 「100億宣言」フォームに必要事項を入力・公表
  3. 公表完了後、申請書類に公表日・URLを記載

注意点
公表には2~3週間ほどかかる場合があるため、申請期限ギリギリではなく、余裕を持って公表手続きを完了させてください。

賃上げ要件は年平均上昇率4.5%以上

賃上げ要件は、基準年度3年後の年平均上昇率が4.5%以上です。この4.5%は全国一律の基準率で、どの都道府県で事業を実施する場合でも同じ基準が適用されます。目標未達成時は、補助金の一部または全部の返還が求められます。

チェックポイント

  • 過去3年間の給与総額・従業員数の推移を確認
  • 事業計画の売上・利益成長と連動した賃上げ計画か
  • 人材採用計画(新規雇用数・職種・時期)は現実的か

重要な義務
交付決定までに、目標とする年平均上昇率と最終年度の「給与支給総額」又は「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」について、全ての従業員又は従業員代表者、役員に対して表明することを求められます。表明がされていなかった場合、交付決定の取消及び補助金の返還を求められます。

リスク回避策
賃上げ目標は「達成可能な範囲で高い水準」に設定し、万が一の未達成時のシナリオ(原資確保策)も社内で検討しておくことが推奨されます。

更新投資は対象外 生産能力向上を定量的に示す投資計画が必須

更新投資は原則対象外です。「既存の老朽化設備を入れ替えるなど生産能力等が向上しない投資」は認められません。「生産能力が○%向上」「不良率が○%低下」など、定量的な成果が示せる投資であることが必須です。

よくある不採択理由
「老朽化した機械を最新機種に入れ替える」という説明だけでは、審査で「更新投資」と判定され不採択となります。

対策

  • ビフォー・アフターを数値で示す(生産能力・品質・リードタイム・エネルギー効率など)
  • 「新規顧客獲得」「新製品対応」など、既存事業の拡張であることを明示

 審査3観点(経営力・波及効果・実現可能性)とプレゼン審査対策

要件を満たすだけでは採択されません。審査では以下の3観点が評価されます。

①経営力

  • 経営者のビジョン・リーダーシップが明確か
  • 組織体制(役員・幹部の役割分担)は整っているか

②波及効果

  • 地域経済への貢献(雇用創出・地域サプライチェーン強化)
  • 取引先への好影響(発注増・技術移転)

③実現可能性

  • 資金計画は妥当か(自己資金・借入・補助金のバランス)
  • 実施体制(社内人員・外部専門家)は十分か
  • スケジュールは現実的か(設備導入・稼働・売上計上の時期)

プレゼン審査(2次審査)の重要性

1次審査を通過すると、経営者によるプレゼン審査が実施されます。事業計画の説得力・経営者の熱意が直接評価されるため、想定問答の準備・リハーサルが不可欠です。

まとめ 2次公募は「要件クリア+採択戦略」が必須

中小企業成長加速化補助金(2次公募)は、投資額1億円以上・100億宣言・賃上げ要件という高いハードルに加え、約6.1倍の競争倍率(1次公募実績)を勝ち抜く必要があります。

2次公募に向けた3つのポイント

  1. 要件の正確な理解
    投資額1億円の定義、100億宣言の公表タイミング、賃上げ要件の現実性を精査し、要件不備による不採択を回避する。
  2. 1次公募の採択傾向を参考にする
    地域分布・投資テーマの傾向を把握し、自社の計画が「審査で評価されやすいポジション」にあるかを確認。ただし、最終的には事業計画の内容が決め手です。
  3. 審査観点(経営力・波及効果・実現可能性)を意識した計画作り
    要件を満たすだけでなく、「なぜこの投資が必要か」「地域経済にどう貢献するか」「どう実現するか」を説得力を持って説明できる計画に仕上げる。

2次公募の申請期限(令和8年3月26日15:00)まで、残された時間を有効に使い、採択を勝ち取る準備を進めてください。

株式会社ai-soumuでは、補助金申請をご支援しております。初回相談は30分無料ですので、お気軽にご相談ください。

【参考リンク】

この記事を書いた人

株式会社 ai-soumu(エーアイソウム)
代表取締役 上瀬戸研次
中小企業診断士

事業会社にて18年に渡り経理・総務・人事・情報部門といったバックオフィス業務に従事。
会社設立後はバックオフィスの業務改善・DXの専門家として、IT導入補助金を活用してクラウド会計をはじめ、各種SaaSの販売および導入支援を行う。

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