前回の第一弾では、補助事業の概要について説明しました。今回の第二弾では、4/25に公開されました販売事業者(ベンダー)の登録要領について説明します。
中小企業省力化投資補助金(省人化・省力化補助金)の目的
令和5年度からの3年間を変革期間とすることを踏まえ、中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、人手不足に悩む中小企業等がIoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を導入するための事業費等の経費の一部を補助することにより、省力化投資を促進して中小企業等の付加価値額や生産性向上を図るとともに、賃上げにつなげることを目的とします。
その際、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品で補助の対象となるものをあらかじめ登録・掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進するものです。
解説:省力化補助金は、3年間続くと言われております。中小企業白書にも記載されておりますが、人材不足を解消するための雇用促進よりも、効率化に向けた取組であることがわかります。
省力化製品販売事業者(ベンダー)の定義
省力化製品販売事業者は、中小企業等に対して省力化製品の販売・提供を行うために事前登録が必要です。登録された販売事業者は、中小企業等と共にカタログに登録された省力化製品を選択し、補助金の交付申請を行います。採択された場合、販売事業者は中小企業等に対する省力化製品の説明、導入、運用方法の相談などのサポートを提供し、補助金の手続きをサポートします。同一の販売事業者が複数の省力化製品に対して登録することも可能であり、製造事業者が自社を販売事業者として登録し中小企業等に直販することもできます。
省力化製品販売事業者は、省力化製品の販売やサポートを行い、補助金の交付申請などの手続きを中小企業等と共同で行う役割を担っています。
中小企業省力化投資補助金(省人化・省力化補助金)の登録の流れ
- (1)省力化製品の販売事業者として登録する場合
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登録の際には、取り扱う省力化製品の製造事業者から当該製品の販売店としての確認を受ける必要があります。確認を依頼された製造事業者は、自身が製造する省力化製品を販売する事業者であって、中小企業等に対する省力化製品の説明・導入・運用方法の相談等のサポート及び補助金の交付申請や実績報告等の各種申請サポートができる事業者と認める場合に確認を行います。
販売事業者としての登録には、当該確認を受けた上で、取り扱う製品の本体価格と導入経費と共に事務局へ登録申請を行います。
事務局及び外部有識者委員会において申請内容の審査を行い、販売事業者の要件を満たすと判断されたも
のがカタログに掲載され、中小企業等が省力化製品の購入先として選択できるようになります。 - (2)製造事業者が販売事業者として登録する場合
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製造事業者が自ら製造する省力化製品を中小企業等に対して直販を行っており、その際に本補助金を活用し
ようとするときは、省力化製品の登録後に、販売事業者としての登録申請を行うことができます。
登録に係る補助対象経費(省力化製品と導入・設定費用)
販売事業者は、販売する省力化製品の販売価格及び導入・設定費用(販売事業者想定値)の価格を登録することができます。
省力化製品の販売価格については、その省力化製品を製造する製造事業者が製品審査申請の際に登録した小売希望価格が上限となります。
導入・設定費用(販売事業者想定値)に関しては、製造事業者が登録した導入・設定費用(製造事業者想定値)の価格が上限となる。 なお、交付申請における導入・設定費用(申請額)は、導入・設定費用(販売事業者想定値)を上限に、かつ交付申請における製品本体価格(省力化製品の販売価格を上限とする)の2割までの金額が補助対象経費となります。
省力化製品価格:100万円の場合、補助率1/2=補助金額50万円
導入・設定費用:30万円の場合、補助率1/2=補助金額15万円(省力化製品価格の2割以内)
50万円の場合、補助率1/2=補助金額25万円(20万円※)
【解説】
省力化製品が100万円であるため、導入設定費用はその2割までが補助対象経費となるため20万円が補助上限額となります。
登録時の要件及び留意事項
- (1)基本的事項
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- 法人として日本国内に登記されており、国税庁の公表サイトに法人番号が記載されていること。
- 経済産業省や中小機構からの補助金停止措置や指名停止措置を受けていないこと。
- 反社会的勢力に属しておらず、将来的にも反社会的勢力と関わる意思がないこと。
- 登録時だけでなく、登録期間中も法令遵守に問題がなく、事業遂行に支障を来さないこと。
- 虚偽の申請や利益の不当な配分など、不正な行為を行っておらず、今後も行わないこと。
- 中小機構や事務局からの調査に際して協力が必要とされる場合は協力すること。協力しない場合は登録が取り消される可能性があること。
- (2)経営基盤に関する事項
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登録期間中、製品の供給・メンテナンスを継続して行えると判断するに足る十分な経営基盤を有していること。
ポイント:導入後も保守やメンテナンスを継続的に行える経営体制を構築する必要があります。
- (3)供給・販売体制に関する事項
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- 省力化製品を提供・販売する実績があること。
- 在庫を一定数保持しており、中小企業への迅速な納入が可能で、交付決定日から12ヶ月以内に実績報告が行える供給体制が整っていること。
- 受注状況の予期せぬ変動が発生した場合、在庫が回復するまで製品のカタログ登録を一時的に停止するなどの措置を講じること。
- 販売先の選定や販売の可否を判断する際に、特別な条件を設けないこと。
- (4)サポート体制に関する事項
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- 生産性向上と省力化を実現するため、省力化製品の保守・修理・サポート体制を整備し、運用障害が発生しないようにメンテナンスと管理を徹底する。
- 登録申請時には、上記サポート体制の設置を証明する資料を提供し、耐用年数内に運用障害が発生した場合には修理やサポートを提供することを宣誓する。
- 効果報告時には、製品の稼働状況や保守・メンテナンスの履歴を示す資料を提出する。そのため、導入した後に、稼働状況を確認するためのエビデンスが必要です。
- (5)価格設定に関する事項
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製品本体価格・導入費それぞれについて、上限額以内で登録を行うこと。
- (6)事業実施に関する事項
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- 取り扱う省力化製品が、登録された製造事業者からすべての要件を満たしていると認められること。
- 本事業の公募要領等に記載された内容を遵守すること。
- 登録申請に際して必要な情報を入力し、指定された申請方法に従って必要な資料を添付すること。
- 登録する情報及び連絡先メールアドレスが正確であり、必要に応じて迅速に更新すること。
- 事業の周知活動に積極的に取り組み、事務局や関連機関との連携を強化すること。
- 中小企業に対し、本事業の内容を十分に説明し、交付申請前に理解と同意を得ること。
- 不正行為が明らかになった場合は交付決定の取消しがある旨を事前に説明すること。
- 補助金交付後も中小企業への充分な支援を継続し、迅速かつ適切な問合せや相談、苦情対応を行うこと。
- 導入された製品の効果報告を中小企業と共に行い、必要に応じて不適切な結果に対する対応を行うこと。
- 製造事業者が保持する製品の稼働状況やメンテナンス履歴の情報共有の取り決めを行うこと。
- 提出された情報が事務局、国、中小機構によって様々な目的で使用されることに同意すること。
- (7)その他事項
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- 事務局及び中小機構は、補助事業の適正な遂行を確認するために必要があると認めた際には立入調査を行うことができ、販売事業者はこれに協力する必要がある。協力しない場合は、登録の取り消し、交付決定の取消し、または補助金の返還が求められることに同意すること。
- 補助事業の遂行中に中小企業や他の事業者間で発生するトラブルや係争については、事務局は責任を負わず、問題は販売事業者と中小企業等及び他の事業者間で解決すること。
- 中小企業等に製品を納入する際は、事務局が設ける転売防止措置に協力すること。
- 悪質な不正行為が発覚した場合は、その事業者名や不正を行った時点の代表者名、不正内容を公表することがあることに同意すること。
製造事業者から販売事業者登録の確認を受ける際の要件
- 販売代理店は省力化製品に類するサービスの提供・販売実績があり、登録された省力化製品を適切に登録及び提供できることを確認する。
- 販売代理店が販売事業者としての要件及び宣誓事項を全て満たしていることを確認する。
- 販売代理店に対し、申請マイページ作成や各種申請及び手続きにおいて虚偽や不正、業務の怠慢、情報の漏洩やその他不適当な行為があった場合、交付決定の取消しがあることを事前に説明し、その同意を得る。
- 効果報告の際には、製品の稼働状況や保守・メンテナンス履歴のサポート実績を記録し、これを製造事業者が保持している場合、その記録が販売事業者を通じて事務局に報告されるよう、記録の共有と事前の取り決めを行う。
ポイント:販売実績を有し、導入後の伴走支援を行うことが、販売事業者に求められています。また、昨今問題視されているGbizIDのログインIDとパスワードを容易に共有することは禁止されております。事業再構築補助金のように申請取り消しとなることもあり得ますので、コンプライアンスの徹底が必要です。
登録申請手続き
必要書類
- 履歴事項全部証明書写し(発行から3か月以内のもの)
- 直近2 年間の貸借対照表及び損益計算書
- 税務署の発行する法人税の直近の納税証明書(その 1 又はその 2) ※1期の決算を迎えた上で提出
申請事項
- 販売事業者の基本情報(法人名、所在地など)
- 取り扱う省力化製品
- 製品本体の販売価格
- 導入費
- 省力化製品の販売実績
- 販売体制及びサポート体制(サポートを提供する地域の範囲)
申請期間
カタログに登録された省力化製品ごとに順次開始されます。
詳細は中小企業省力化投資補助金の事務局ホームページに掲載されますので、こちらでも更新いたします。
販売事業者(ベンダー)の登録要領のまとめ
省力化製品販売事業者登録要領を整理すると下記の5点がポイントとなります。
- 販売事業者は事前に登録が必要であり、製造事業者の確認を受けた上で事務局に登録申請を行う。
- 提出書類から決算を1回以上行っている必要があります。
- 申請事項には販売事業者の基本情報、取り扱う省力化製品、製品本体の販売価格、導入費、販売実績、販売体制及びサポート体制が含まれます。
- 登録された販売事業者は中小企業等と共に補助金の交付申請を行い、省力化製品の説明、導入、運用方法のサポートを提供する必要があります。
- 販売事業者は複数の省力化製品に対して登録することが可能であり、製造事業者も自社を販売事業者として登録し直販が可能です。
最後に IT化のためのソフトウェアを導入したい場合は、IT導入補助金
人出不足による事業の影響は様々なところで出ています。効率的な仕事を進めるためには、あらゆる課題を解決していく必要があります。
弊社では、会計や勤怠管理ソフトウェアを取り扱っており、バックオフィスの業務改善を考えられている方は、IT導入補助金を活用することができます。
あれもやらなきゃ、しなきゃと思っている方は、ぜひ「したい」ことを増やしていくためにも、補助金を活用して業務改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。
まずはこちらのお問い合わせフォームからご相談いただき、一緒にお話しをしながら良い方向へと改善できるお手伝いいたします。
本記事は、2024年4月25日に公開された中小企業省力化投資補助事業の「省力化製品販売事業者登録要領」より引用・参照しています。
参考までに、中小企業省力化投資補助金(省人化・省力化補助金)の第一弾コラムもご覧ください。